Web人大賞

坂和 敏

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 代表取締役

Agile Media Networkの設立・運営


ブロガーおよびブログメディアの価値を高めるべく設立された「アジャイルメディア・ネットワーク」

ブログの広告枠の代理販売から、ブロガーリレーションズの仲介、ブログイベントの企画や、ブログ運営のサポートまで、個人ブロガーでは手の届きにくい分野を手助けしながら複数のブログをネットワークして、メディアとしての価値を高めていく「アジャイルメディア・ネットワーク」。その仕掛人が、同社代表取締役社長の坂和敏氏だ。

――アジャイルメディア・ネットワーク設立のきっかけは?

2006年の5月頃、日本国内のブログの中でもアクセス数の多いブログを運営されている複数の方々が、「メディア価値という面でも脚光を浴びてもいいのでは」というテーマでディスカッションし始めました。当時は「ブロガーに1記事300円払って記事を書かせることができる」というペイパーポストと呼ばれるブログ記事広告サービスが流行った頃で、それではいけないぞと、広告媒体としてきちんと評価してもらうにはどうしたらいいのかと。ブロガーやマーケティング関係の方々と話しているうちに、秋には主要メンバーが合流し、同年のクリスマスに実験的にサービスを開始するという流れになりましました。おかげさまで反響は大きく、急いで受け皿を用意せねばと2007年2月に「アジャイルメディア・ネットワーク」を設立し、広告の受注を始めました。

――坂和氏自身がブログサービスに身を投じることになったきっかけは?

以前、3~4年ほどオンラインメディアの世界にいて、ブログのような新しいメディアで成功した例というのを数多く見てきました。たまたまアメリカで大成功を収めたFederated Mediaの共同創業者が知り合いだったこと、個性のあるブログを手がけていた身近の人を中心に機運が高まってきたこと、そもそもブログの持つ多様性に読者としてエンジョイしたことなどが、発起のモチベーションになりました。従来のブロードキャストは情報の送り手と受け手が完全に分離していますが、ブログは読者のコメントに返答するとまたコメントがつく。このことからCMSとしてだけではなくコミュニケーション性も強いなと感じたことも、大きな理由の1つです。

――御社のサービス内容を教えてください

ブロガー側に関しては広告の営業代行と、付随する広告システムの開発や運営、サーバーのサポートなどを行っています。クライアントさんに対しては、「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードを軸に、単なる広告販売だけでなく、クライアントのニーズに応じてブロガーイベントを開いたり、ブログの広告枠を確保したり、ブロガーとリレーションを取りたい企業の方がいたらその間を受け持ったりしています。ただし他の会社と違うのは、あくまでブロガーという書き手に準じている広告ネットワークだという点です。エントリーを作成する個人の努力が報われる仕組みを提供する、というのが、「アジャイルメディア・ネットワーク」の立ち位置です。ただし、事業的には一般的なインターネットの広告代理事業とあまり変わらないので、説明しづらいのですけどね(笑)。ポイントとしては、企業のためにも、書き手のためにも、読者のためにもなるという3つがすべて成り立つことを重視しています。

――マーケティングポリシーを教えてください

編集と広告の分離です。ブロガーの編集方針が広告によってぶれないということが重要だと考えています。
どちらかというとブロガーのエージェント的な立ち位置で、以前は「AMNはブロガーのホリプロです」と言っていました。芸能プロダクションと比べるのは、イメージとしてはどうかとは思うのですが、分かってもらいやすいので。ともかく、ブロガー個人とブロガーが生み出すコンテンツの個性を生かすことを最重要ポイントとしています。

――サービス開始当初、参加されていたブロガーの人数は?

実験サービス時は6人で、会社設立時は12人くらいでした。ただ、以前より人間関係のネットワークはできていて、「アジャイルメディア・ネットワーク」というレイヤーが新たに1つ重なったというイメージです。

――現在の、ネットワークを組んでいるブログの数は?

68ブログです。数百、数千のブログを保有しているブログ広告サービスは他にもありますから、数という面では大きいものではないと思いますけど、創業時は2年で100ブログ集めることを目標としていたので、順調にきています。

――アクセス数はいかがでしょうか?

現在月間1200万PVです。100ブログを達成したときの目標値は3000万PVなのですが、現状ではちょっと厳しいとみています。とはいえ大型のブログサービスと連携すればPVは増やせてしまうので、そこを追うだけだと意味はないかな、とも思っています。

――クライアント側からの要望はありますか?

一般のメディアと違ってブログの場合、誰が書いているのかがわからないという懸念点があるようです。特に、極端にネガティブな書き込みについての不安があるようなのですが、そこはAMNの場合は少数精鋭のブログネットワークなので、安心して頂いています。広告効果については1万人の読者さんがいる1つのブログがあったとしても、その読者さんたちがどういった属性を持っているのかを長い目で見て判断していかなければならない、とは思っています。大きいメディアでは、各記者やライターの記事ごとにどういった広告がもっとも効果的なのかを細かくセグメントしていくのは難しいと思うのですが、こちらとしてはそのあたりを努力してカバーしていきたいと思っています。

――今後の展開を教えてください。

クライアント向けという意味では、今まで以上に単純な広告ではなく、様々な広告やサービスを組み合わせたカンバセーショナルマーケティングならではの、手法を開発していきたいと考えています。オフラインなイベントとの連動はすでに手がけているのですが、参加者が記事を書くだけではもったいないので、そこを更に企業の公式サイトやタイアップサイトや、AMNの広告枠との組み合わせで効果を高めていくことに注力しています。リアルなコミュニケートこそがエンゲージメントの度合いが高いのは当然ですが、実際に集まってもらうイベントでのプロモートは日本だからこそ有効だと思うのですよね。国土の広い米国ではあまり見られない手法なので、日本ならではのアプローチとして開発していきたいと思います。
また、ブロガーの方々や読者の方々向けにも、エージェント機能であったり、ブログを続けるのが楽しくなる仕組みであったり、面白いブログを見つけやすくする仕組みであったりと、やりたいことは山積みですので、1つ1つ実現していきたいと考えています。

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