第5回の贈賞式レポート

2007年9月11日、大手町サンケイプラザにて、社団法人日本アドバタイザーズ協会、Web広告研究会が主催する「第5回Webクリエーションアウォード」の贈賞式が行われた。(以下、肩書きなどは当時のもの)

はじめに、贈賞式開始にあたって、Web広告研究会副代表幹事・渡辺春樹より挨拶。

「Webクリエーションアウォードは2003年にWebの世界で活躍されている人を讃えよう、という趣旨ではじめたものです。アイデア・情熱が新しいWebの世界を開拓していく中で、特に人という存在は大事じゃないか、と我々は考えてきたからです。
 今年初めての試みとして、一般投票も導入して、審査の参考にいたしましたが、思いのほか、票が集まって大変びっくりいたしました。本日、ここでこれから受賞される皆様は厳正なる審査を経て選ばれたのですが、正直言って甲乙付けがたい素晴らしい方が多かったものですから、どなたを選ぶか大変苦労いたしました」
と述べた。


挨拶が終わり、いよいよ受賞者の発表。
最初は、学生を対象にした「Web人学生賞」。しかし、残念ながら昨年に引き続いて該当者なしという結果に終わった。

続いては、グループに対して表彰するWeb人ユニット賞。
「ONEDARI BOYS」「The Handshake Company」の受賞が決定した。

「ONEDARI BOYS」は、ブロガーによるユニットを結成し、興味のある製品や店舗等をレビューすることによって、純然たるバイラルマーケティングの可能性にチャレンジし、コンセプトを変えず継続している努力が受賞理由。壇上に上がったメンバーの皆様が、ブロガーらしく大型スクリーンに向かって記念撮影をし、会場の笑いを誘った。

代表のいしたに氏は、「冗談ではじまった企画が2年ぐらい続いているのは、商品をいただけている企業の皆様のおかげだと思っていますので、今後ともぜひONEDARIをよろしくお願いします」とコメントした。

「The Handshake Company」は、マイクロソフト株式会社MSNのブランディングのキャンペーンにおいて、ブログパーツとFlashアプリケーションを組み合わせ、独創性の高い世界観を作り上げた。広告主・広告会社・クリエイティブのチームワークが称えられた。

代表の博報堂・福岡氏は、「The Handshake Companyは、インターネットの世界をもう少し暖かく、人の存在を感じられるものにできないか、という思いからスタートしました。メールやチャットとちょっと違う、なにか新しいものができないかということで、ブログパーツを通じて、握手という行為で偶然人と出会うことを演出するサイトとなりました。ブログパーツは、(ブロガーに)貼ってもらわないと成立しない仕組みなので、当初このような複雑なものがわかってもらえるのだろうか? という心配があったのですが、今朝の時点で2万人に貼っていただき、延べ4万人の握手が実現しました。ブログパーツを貼っていただいた、The Handshake Companyの“社員”一人一人にお礼を言いたいと思います」とコメントした。


続いては、Web人賞の発表。今年は9名が受賞となり、3名ずつ発表された。
はじめは、赤松洋介氏(サイドフィード株式会社代表取締役)、田中麻利夫氏(スープレックス代表)、家入一真氏(株式会社paperboy&co代表取締役社長)が受賞された。

赤松洋介氏は、「フィードメーター」「あとで読む」「あわせて読みたい」など、複雑化したネット上のサービスを効率よく読むためのさまざまなサービスを提供し、ユーザーの利便性を高めたことが評価された。

赤松氏は、「私自身としては、まだやりたいことの1%くらいしかできてないと思っていますので、この段階でこのような賞をいただくのは重いと思いますが、せっかくですのでこれを糧に、励みにしたいと思います」とコメントした。

田中麻利夫氏は、ラーメンに関する口コミサイト「ラーメンデータベース」を個人で開発し、CGMとして成長させ、ラーメンファンの絶大なる支持を得たのが受賞理由。

田中氏は、ラーメンデータベース、カレーデータベースを運営する旨の自己紹介をしたあと、「本日、『マニア検定』というサービスをリリースしましたので、こちらもよろしくお願いします」とコメントした。

家入一真氏は、格安レンタルサーバ「ロリポップ!」の提供おいて、以前は敷居が高かったレンタルサーバのユーザー数、ユーザー層の拡大に貢献、さまざまなネットサービスを独特の感性で提供し、Web業界に存在感を示したことが受賞理由。

家入氏は、「受賞しました、というメールをいただいたときに、即座に親に電話して『かーちゃん、Web人とったばい』と言いました。『Webちゃなんね?』と言われましたので、Webの歴史から説明しまして、『最終的にGoogleたい』ということなりました」と九州弁でコメントし、笑いを誘った。最後に、「これからはいちWeb人として、これから続くWeb人をいい感じにしていきたいと思います」と締めた。

続いて、「藤崎実氏(株式会社読売広告社 クリエイティブ局 シニアクリエイティブディレクター)」「津田全泰氏(フォートラベル株式会社 代表取締役会長 兼 CCO)」「和田亜希子氏(有限会社バードハウス)」の3名が受賞。

藤崎実氏は、株式会社カプコンのPSP用ソフト「極魔界村」の広告展開において、バイラルCMの有効性について広告主とともにチャレンジ。その結果、話題が話題を呼ぶ、日本初のバイラルCMとして成功。Web広告の新しい手法で実績を残したことが受賞理由。

藤崎氏は、「ずっと広告会社でCMを作成してましたが、Webの可能性については注目していました。海外でバイラルCMというものがあることは知っており、自分の手でやってみたいと言うことで社内でチームを組んで、取り組んだのが今回のバイラルCMです。今、いろんなバズマーケティングが盛んになっていますが、これからもブログを使った、人々を豊かにするようなコミュニケーションが広がればいいな、と思います」とコメント。

津田全泰氏は、口コミ旅行サイト「フォートラベル」を立ち上げ、旅行ファンから絶大な支持を集めるコミュニティに成長させ、2名での起業時からビジネスモデルに対する明確なビジョンを持ち、CGMとして大成した功績が評価された。

津田氏は、スタッフやユーザーに感謝を述べたあと、「インターネットと95年に出会ってから12年、楽天・フォートラベル・価格コムと(関わってきて)、インターネットと心中する覚悟でやってきました。いろんな業界の改善や効率化をすることがライフワークだと思っていますので、旅行だけではなく、ほかの業界にも切り込んで行ければいいな、と思っています」とコメントした。

和田亜希子氏は、レビューブログの第一人者として多くのブログを運営し、アフィリエイトの楽しさ、実用性を多くの読者に伝え、コンサルタントとしても活躍してアフィリエイトの素晴らしさを広めることに貢献したことが受賞理由。

和田氏は、「アフィリエイトマーケティングの世界をアフィリエイト側から、ブログマーケティングの世界をブログ側から盛り上げて、楽しいものができたらいいな、とここ5年くらい、楽しみながら地道に活動してきました。いまは、『MONO-PORTAL』というレビューブログ専用のトラックバックセンターを運営しています。あまりアクセス数はなくても、良いレビューを書くブロガーを応援していきたいです」とコメントした。

Web人賞、最後の3名は「土屋敏男氏(日本テレビ放送網株式会社 編成局デジタルコンテンツセンターED)」「大浜史太郎氏(株式会社ゼイヴェル CEO ウェブマスター)」「近藤弘忠氏(ヤフー株式会社 広告本部 営業企画部長 ネットワーク推進室長)」が受賞。

土屋敏男氏は、第2日本テレビのプロデューサーとして、テレビ向けとは異なるネット独自のコンテンツを提供し、既存媒体の中にあって、テレビとネットの特性を生かした積極的な取り組みが評価された。

土屋氏は、「テレビのようなオールドメディアから(Webの授賞式にやってきて)、こうやって見回すと一番年取っているということが非常に嬉しいな、と思っています。できることなら、ここから20年連続この賞をいただきたいな、思っていますので、よろしくお願いします」とコメントした。

大浜史太郎氏は、モバイルサイト草創期に「girlswalker.com」を起ち上げ、コンテンツの提供からコマースへ展開しさせ成功。ネットサービスに留まらずファッションブランドの創設、リアルマーケットにもチャレンジし、ネット業界だけではなく、アパレル業界にも影響を与えたことを評価された。

大浜氏の代理として出席した、同社の後藤あすか氏が大浜氏の喜びの言葉を代読。「私たちは、ネットとリアルを分け隔てることなく、girlswalkerをひとつの女性メディアとして、多くの女性の生活に役立つサービスにすること、すべての女性に夢を与えるメディアとなるように努力してきました。大型オフ会イベントである東京ガールズコレクションは、日本のファッション業界、繊維産業に影響を与え、一致団結する数少ない機会となり、業界に少しでも貢献できたのではないかと思っております。」

近藤弘忠氏は、インターネット広告の分野で、効果指標の確立など、インターネット広告を従来ある広告と比肩できるレベルに育て上げたこと、近年は、クリエイティブの質的向上にも努力し、インターネット広告業界全体に貢献したことが受賞理由。

近藤氏は、「実はまだ、貢献したという過去形ではなく、現在進行形です。受賞したのはYahoo!の近藤ではあるんですが、活動するときはできるだけYahoo!という色を消して、インターネット広告がどうすれば大きくなるんだろう、と活動したことが評価されたんだと思います」とコメントした。

続いて、今年は審査委員特別賞として、Web人貢献賞が発表され、錦戸陽子氏(株式会社インプレス R&D 白書・書籍編集部編集長)が受賞した。

錦戸陽子氏は、10年間に亘ってネットビジネス業界のバイブルともいえる「インターネット白書」を編集。数多くの企業にとって有用なデータを収集・編集し、これを継続してきたことによって、インターネットを信用できる媒体とすることに長く貢献してきたことが評価された。

錦戸氏は、普段はプレス席に座っていたので落ち着かないと前置きし、「インターネットをテーマにしたネットビジネス書籍を作ってきました。私自身は、mixiのプロフィールにも『IT出版社のアナログメディア担当』と書いているくらい、Web人ではないと思っていましたけど、Web人の方々に貢献したという切り口にしていただいて、本当に光栄です」とコメントした。

続いて、今年1年間もっとも活躍された方に贈るWeb人 of the Yearの発表。受賞は、上路健介氏(株式会社IBC岩手放送 テレビ編成局 メディア企画部 主事)。

上路健介氏は、放送局という立場からネットになじみの薄いユーザーにもわかりやすいツールやサービスを考案して自ら開発してきた。この1年ではラジオを楽しむツールバー「kikeruツールバー」や、話題連動広告を開発し、地方局の特性を生かしつつ、垣根を越えたWeb業界への貢献を讃えられた。

上路氏は、「5年前くらいからネット関係の取り込みをいちはやく放送業界の中で取り組んできました。放送業界の中で話をさせていただく機会は多いのですけども、ネットの賞を頂けるというのは非常に光栄です。ネットは非常に面白いサービスが多いと思うのですが、岩手の田舎の人はなかなか触れていない人が多いんですね。そこで、既存メディアを使って入り口を開いてあげると言うことをやっています。これからも、旧メディアのいいところ、新メディアのいいところを近づけることによって、面白いものができるのではないかと思います」とコメントした。

続いて、いよいよWeb人大賞の発表。
「モバゲータウン」が評価され、「畑村匡章氏(株式会社ディー・エヌ・エー ポータルコマース事業部 モバイルポータル部 部長)」が受賞した。

畑村匡章氏は、モバイルサイト「モバゲータウン」において、ゲームとコミュニティという組み合わせで、わずか1年半の間に600万人というユーザーを集める大躍進をしたこと、アバターを活用し、ユーザーのメリットを最大化した広告モデルを開発したことが受賞理由となった。昨年に続いて、モバイルメディアの大賞受賞となる。

畑村氏は、「モバゲーには、アクティブなユーザーがたくさんいまして、ユーザーさんがコンテンツを楽しみながら作り出してくれるというありがたい状況にあります。ユーザーさんには本当に感謝したいと思います。広告という面では、モバゲータウンは広告の収益に寄っているところが多いのですが、まだまだPCの世界と比べると(モバイル広告の世界は)まだまだ規模が小さいのかな、と思っています。これからもユーザーの支持を得られるコンテンツを作って、モバイル全体を盛り上げていきたいと思っています」とコメントした。

最後に、Web広告研究会顧問・岩城陸奥より本年度のアウォードの総括。

はじめに

「審査に当たって(審査委員の)みなさんに留意していただいたのが、『びっくり』と『やっぱり』ということです。『びっくり』というのは、『え、こういう人がいたの』ということ、『やっぱり』は、『やっぱり、あの人がとったの』ということで、このようなスタンスで審査させていただきたいとお願いしています」

と審査の手法を紹介。
続いて、過去から現在までの総括を行い

「第1回、2回は広告主、第3回は知的なデータベースなもの、第4回、5回はモバイルサービスが大賞を受賞しました。このあたりを見ていきますと、Webの変化がよくわかると思います。第1回は、幅広くバランスよく、第2回はブログが少しずつ出て、第3回は知的インフラとSNSが本格的になってきました。第4回はモバイル、そして広告主がブログを利用するというのが特徴的でした。今年、第5回は、半分くらいはブログ・バイラルマーケティングなどCGM関係、既存メディアの方がお二人いて、既存メディアのインターネット対応も盛んになってきたのだと思います。また、Web広告研究会は、名前の通りWeb広告の応援団ということで、インターネット広告の方が今回受賞されたと言うことに嬉しく思っております。また、Webは人次第というアウォードの基本設計はよかったと思いますが、推薦・投票の手法については、皆様の協力をいただきまして、改良していきたいと思っております」と述べた。

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