Web人賞

近藤 弘忠

ヤフー株式会社 広告本部 営業企画部長 ネットワーク推進室長

インターネット広告


ネット広告業界発展のために指標作りにも取り組む

 2000年のヤフー入社以降、自社のネット広告関連事業を統括し、ユーザーの好み、嗜好に合わせた行動ターゲティング広告を開始するなどのチャレンジを続けるだけでなく、インターネット広告業界全体を盛り上げるべく、業界団体での活動や「Yahoo! JAPAN インターネットクリエイティブアワード」の実現など、精力的な活動を続けている。

――近藤さんの最近の活動をお教えください。

 ヤフー、MSNさん、Gooさん、ビデオリサーチインタラクティブさんの4社で、インターネット広告を評価する指標作りを行っています。テレビや雑誌と比べてわかりづらい分野だからこそ、効果の計り方がバラバラです。これを共通にしましょう、標準化しましょうと働きかけ、今年の3月くらいからはじめました。業界発展、マーケット拡大のためにはじめましたが、今はうまく軌道にのったかな、と思います。

――行動ターゲティング広告について教えてください

 従来のターゲティング広告との違いは、現在表示しているページの内容に合わせるのではなく、行動ターゲティング広告はユーザーの検索履歴やアクセス履歴を元に、そのユーザーに最も適した広告を表示するシステムです。インターネットの本質ともいえる、優れた機能だと思います。
 実は行動ターゲティング広告のコンセプト自体は2001年くらいからありました。当時は「フュージョンマーケティング」と呼んでいましたが、理論はあってもまだ机上のもので、それを実現する土壌がないのが現実でしたね。

――実際に市場に出てきたのはいつごろですか?

 形を成してきたのは、ブロードバンド化が進みヤフーの利用者も、利用時間も、利用頻度も大きく伸びて実現できるフィールドができてからですね。そして、まずはアメリカで使われるようになりました。ヤフーの場合はヤフーUSが各機能のコアを開発していまして、2003年くらいからトライアルをはじめました。その様子を見て、日本では2005年の夏からテストマーケティングを開始、2006年7月から一般に販売しました。

――クライアント、広告代理店の反応はいかがでしたか

 当時から「ターゲティングできます」とアピールはしてきたのですが、ターゲティングによる価値がまだまだ小さかったんですよ。年齢によるターゲティングなどは昔からありましたが、マーケティングが失敗していたこともあり、あまり反響がよくなかった。「新しいシステムができたから使ってください」と、ぞんざいに出してしまったのも失敗の理由かと。ゆえに行動ターゲティング広告は丁寧に、大事に育てようと思ったんですね。そのため今でこそ普通のプロダクトとして販売していますが、最初の1年間はテストマーケティングとして、システムを理解してもらえるリテラシーが高いクライアントのもとに、広告代理店のスタッフだけでなく我々も足を運び、「一緒に使っていただいて」と説明してお互いに最善の使い方を模索してきました。

――その最善の使い方とは?

 ターゲティングも重要なのですが、その後のレポートも重要なんですよね。広告、マーケティング、プロモーションは、何が成功で何が失敗なのかは結果でしかだせないから、結果をきちんとトレースして、慎重にアセスメントしました。反響がよければまた使ってもらえるし、実際にリピーターは多いです。うまく回っているという印象はありますね。地味に見えますが、広告・レポート・リピートというスパイラルが、インターネット広告のマーケットを広げることだと思っています。

――「Yahoo! JAPAN インターネットクリエイティブアワード」の実現に尽力されたそうですね。

 昨年が一回目でして、高いハードルを作ってしまっていいものかどうか悩んだ結果、規定を緩くして間口を広く取ったのですが、一部のクリエイターから「逆にわかりづらい」との意見をいただきました。そこで今年はもっとコンセプトをはっきりさせたんですよ。制限を緩めるべきところ、締めるべきところが見えてきましたし。例えば、広告コミュニケーションはある程度短い尺の中で視聴者に興味を持ってもらわないとならないこともありますし、1作品は5分まで、という規定を盛り込んだりしました。

――一般の部、クライアントワークの部、広告主の部と複数の部門を用意している理由は?

 きっちりとお金をかけて作られた広告を評価するとともに、学生からの応募も積極的に受け付けていきたいと考えてまして。それもあって一般の部は敷居の低い、自由度の高い規定で、共通テーマの「もう一度見たくなる」「人に教えたくなる」作品を応募してもらおうと考えています。

――これからのクリエイターに伝えたいことはありますか?

 これは制作会社のクリエイターにも言っていることなのですが、ヤフーのバナー広告の場合、尺は30秒までとなっています。しかし全部使っちゃだめでしょう、と。30秒間、スクロールもせず同じ画面をじっと見ているってありえないじゃないですか。たぶん、2~3秒でアイキャッチをとって、伝えることをアピールしないと効果は薄いんです。テレビのCMのように、最後にテーマを持ってくる方法論はウェブでは通用しない。それを理解してもらいたいですね。

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