Web人貢献賞

錦戸 陽子

株式会社インプレスR&D

インターネット白書


ネットビジネス業界のバイブルを10年以上編集

1996年から発行されている「インターネット白書」。日本国内のインターネット利用者数などをまとめた、インターネット動向調査書だ。インターネットビジネスに携わる人や、企業などでは必ず読まれているこの白書を、創刊から10年以上手がけているのが錦戸氏だ

――錦戸さんはインターネット白書の創刊から携わっていらっしゃるんですよね?

96年当時に、インターネット白書を作ろうとなったときに、インターネットマガジン編集部で作ることになったのです。当時私は、インターネットマガジン編集部に在籍してましたが、直接の担当ではありませんでした。ただ、お手伝い程度はしてましたので、やっていたといえばやっていたことになりますね。本格的に担当となったのは1998年からです。

――これまで続けてこられた理由は?

一時期類似書が他社からも発行されたことがありました。いわゆるネットバブルの時代ですね。しかしネットバブル崩壊後、他社は白書系のものから手をひいたんです。なので、必然的に残ったと。また、インプレスはインターネットをテーマにした出版ということをメインにやっておりますので、インターネット白書をやめるわけにもいかなかったということもあります。インターネットが流行しているから出したわけではありませんから。インターネットの動向を1年に1回まとめる。インターネットはなくならないですから、その年に応じた適正部数で適正な内容で発行し続けることに意味があるんだと思っています。

――1年に1回の発行ですが、部数というのはどのくらいなのでしょうか?

毎年違うんですが、96年当初は8000部でした。もっとも多いときは3万部ですね。ここ最近は平均して1万部前後になっています。1冊が7000円ほどする高価な本ですので、なるべく返品のないように、その年ごとに部数は調整してますね。

――錦戸さんのこだわりのようなものはありますか?

初期のテーマとしては、インターネットビジネスに入ってくる人たちの役に立つようにということだけを考えて作っていました。インターネットは参入障壁が低い。アイデア次第でビジネスができるというプラットフォームなんです。私にはそう思えたので、インターネットをきっかけにたくさんのビジネスが生まれればいいなとは、ずっと考えていました。ただし、10年以上やってきて、もうWebやメールをプラットフォームとした基本的なものに関しては、十分情報を提供できたと感じています。もはや、個人レベルでもインターネットで商売ができるような状態になっていますから。これからは、ブログやSNSといった、Web2.0的なものを企業がどう取り込んでいくのかというのが新しいテーマとしてあると思います。

――この10年くらいで、インターネットの世界で大きな転換点を挙げるとしたら何になりますか?

よく言われていることですが、ブロードバンドの低価格化、定額制の導入ですね。これはもう、インターネット業界の方々のおかげですね。もうひとつが、Googleです。Google前とGoogle後では、インターネットが変わりましたから。特にGoogleアドワーズは、最初見たときにすごいなと感じました。
ただ、最近話題になっているマッシュアップという世界は、まだまだ成熟していない状態だと思います。AというものとBというものからCが生まれるというのを、誰かにやって欲しいと思っているんですよね。

――今はまだ材料がたくさん出てきたという状態ですか?

私はクリエイターではないので、その材料を使って何かを生み出すことはできないんですけれど(笑)。個人のプログラマの方とかが、ものすごいものを作ってくれないかと、密かに期待しています。

――担当になられて10年。長い期間、錦戸さんを駆り立ててきた原動力というのは?

よく飽きもせずにって言われますけど(笑)。毎年ネタが変わるからやってこられたというのはあります。元々雑誌をやっていたので、インターネット白書に関しては雑誌的な形でやろうと思っていました。割と自由にやらせてもらっています。インターネットは幅が広いので、あれもいれましょう、これもいれましょう、と割と雑誌的にできるんですよ。ネタが多くて、インターネット自体が変わっていった。去年と同じことをやらなくていいっていうところが、飽きなかった原因ですね。もうやめさせてくださいといったことはないです。外から見れば、ずっと同じことをやっているように見えますけれど。

――あと何年くらい飽きないんでしょうか?

「ブロードバンド普及率50%突破」と、今年のインターネット白書で初めて言ったんですよ。その時点で一段落したと思ってます。あとはインターネット次第ですね。もし来年が今年と同じ状況であれば飽きてしまいます。そのような状況が続いたら、後進に譲りますよ。それもすべてインターネット次第ということで(笑)。

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