Web人賞

土屋 敏男

日本テレビ放送網株式会社 編成局デジタルコンテンツセンターED

第2日本テレビ


独自のコンテンツを配信する「第2日本テレビ」仕掛け人

 松本人志のオリジナルコントやスピンオフドラマをはじめ、8000m級登山のリアルタイム更新などオリジナルコンテンツを次々に配信する「第2日本テレビ」。仕掛け人は、電波少年のTプロデューサー(部長)としてお馴染みの土屋敏男氏。「万人受け」が必要とされるテレビとは違い、狭くて深いコンテンツが可能なインターネットならではのコンテンツ配信を模索している。

――第2日本テレビをはじめられるきっかけは?

 ネットでの動画配信には、以前から興味があって、電波少年をやっているときに経験もありました。東京タワーの展望台にある望遠鏡みたいに、お金を払ったら一定の時間だけ見られる映像、というのをやってみたかったんですね。それで、1998年頃に、なすびを有料で24時間インターネットで中継する、という企画をやりました。「10円でクレジットカード決済ができる?」と聞いたら無理で、50円なら大丈夫です、と言われたりして。
ところが、実際、自分も見ようと思ったんですけど、どうやって見たらいいか、やり方が分からない(笑)。アクセス自体は50万件くらいあったんですが、実際に課金して見てくれた人は異常に少なかった。僕と同じように、来たけれどやり方が分からない、という人は多かったんじゃないかなあ。

 第2日本テレビをスタートしたきっかけの一つが、巷で言われている「放送と通信とネットの融合」というものに疑問を感じていたこと。たとえば、ライブドアの堀江さんなどが「テレビドラマを見て、ドラマ内で出ていた服などをその場で買える」ようなことを言ってましたけど、それは違うだろうと。我々から見れば、それはそのドラマが面白くないと言うことだと。コンテンツは、喜怒哀楽を与えるものでないといけない。これを追いかけていけば、世界でまだそのモデルが発見されていないと思うのでトップになれるんじゃないかという思いがあります。

 じゃあ、ネットというメディアに適したコンテンツはどんなものか。ダウンタウンの松本が、「もうテレビでコントは作れない」と2001年に言っています。これは、テレビでは広く受け入れられるということが運命づけられているということだと思うんです。そういう意味では、ネットというメディアは、分かる人だけ分かるように深く作ることができるメディアだろうと。仮に100万人見たい人がいたとします。これはテレビの視聴率で考えると少ない人数ですが、1人100円ずつ払って見てくれれば、それで1億。そういうコンテンツをうまく提供できれば、成立すると思ったんです。

――2005年10月にサービスを開始していますが、プロジェクトはいつ頃スタートしたのでしょうか?

 話が出たのが6月頃で、7月に発表記者会見会をしました。当初のメンバーは僕と、僕一人では無理なので留守番役でアルバイトの女の子が一人。実際にベンダーが決まったのは8月下旬で、10月にオープンすることは決まっていたため、厳しいスケジュールでした。おかげで、次々と人が倒れていきました(笑)。その後、9月に事業部ができて、その時点で社員が6人、外部スタッフが10数人程度になりました。

――テレビ局発の動画配信サイトですが、テレビとはまったく違う番組が多いですね

 テレビは録画もできるけど、基本的には流れてしまっておしまい。一瞬一瞬が勝負。(第2日本テレビでは)テレビでできないことを掘り下げていきたい。例えば、欽ちゃん(萩本欽一)が66歳で、24時間テレビでマラソンを走る。20年前に一度24時間テレビと距離を置いたのに、それはなぜなんだと。それで、「24時間テレビ 欽ちゃん、なぜ24時間マラソンを走るの?By弟子土屋」というタイトルで、もう10時間以上インタビューをしている。それから、ヒマラヤの8201m峰チョ・オユーに登山するのを、ほぼリアルタイムで配信しました。登頂する前に、視聴者からのメールを読んですごく励まされた。そういう双方向性もネットに向いていますよね。また、今年の春やっていたドラマ、バンビーノのスピンオフとして、脇役にスポットを当てたネットドラマをやって、これが20万再生以上となりました。地上波でスポットライトが当てられない人の物語として。これが、ファンにとっては深い味わいとなります。やっているドラマスタッフは大変でしたけど。

――動画投稿もはじめられていますが、既存の動画投稿サイトと違って、主催者側が作品に対して感想を付けるなどの差別化がありますね

 他の動画投稿サイトは見ていないので分からないんですが、動画にしろ、Flashにしろ、表に出てこないけどすごい才能を持った人はいるはず。これまでのシステムの中では埋もれてしまっている才能に、クリエイティビティを発揮できる場を与え、発見して磨いていきたいという思いがあります。これも、ネットでやるのがふさわしいだろうと。投稿している人が私に会いたいというならば、会って話をしてもいいと思っていますよ。

――第2日本テレビを運営するモチベーションと今後についてお願いします

 第一に、狭くて深い表現ができること。分かってくれる人と分かってくれない人がいるのは当たり前なんです。色んなジャンルの分かってくれる人向けの狭く深いコンテンツを作りたい。それと、YouTubeで衝撃を受けたのは、海底ケーブルを伝って日本から動画が投稿されて、また、海底ケーブルを伝ってそれを見る、そんなことが当たり前になったこと。以前は、アメリカのNBCで面白いドラマがあるよ、と聞いたらビデオテープを入手して、「ああ、面白いね」と見ていたんですが、今はNBCのホームページからすぐに見られてしまう。完全なコンテンツのインターナショナル化ですね。それなら逆に日本のコンテンツを海外に出すこともできるんじゃないかと。国内マーケットだけじゃなくて、国際マーケットにも進出する。時間はかかると思いますけど。それから、さっき言った新しい才能を発見して出していく可能性。この3つを追い求めて生きたいと思っています。

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