Web人 of the year

阿部 雅美

株式会社産経デジタル 代表取締役社長

iza(イザ!)


「新聞紙社」からの脱却目指し、新しいメディアへの挑戦

次世代の新聞をデジタルで実現する
産経デジタル「iza(イザ!)」

新聞記者が自社のサイト上でブログを書き、コメントやトラックバックを受け付ける。ブログの炎上が問題となる中で、英断とも言えるポリシーを掲げてスタートした「iza(イザ!)」は、ブロガーのみならずマスコミからも注目の的となっている。「新聞2.0」をテーマに、紙に縛られない新聞の進化系を目指す同サイトのトップを務めるのが、産経デジタルの阿部雅美氏だ。

――「iza(イザ!)」スタートの経緯は?

 産経新聞のネット事業の分社化に伴って「やるからには新しい試みを」という考えのもと、いくつか並行したプロジェクトのひとつとして「iza(イザ!)」の企画が立ち上がりました。産経デジタルは産経新聞社の100%子会社ではありませんが、約50名が出向してきています。産経デジタルの初期の目標は紙の情報を今まで以上にネット上で扱うこと。私自身、30年以上産経新聞の記者を務めてきましたが、現在はiza(イザ!)の責任者であり、基本コンセプト作りから関わっています。やってみないとわからないことはやってみよう、という主義で、iza(イザ!)も多くの反対意見の中、とにかくスタートさせてみました。
 同業他社からは「記者ブログをよくはじめたね」と、評価というよりは否定的な意味も含めて言われますね。

――iza(イザ!)のスタッフは?

 産経デジタル120名のスタッフのうち、約30名がiza(イザ!)に関わっています。このほかチームラボやトランスコスモス、産経新聞編集局などと連携しています。開発室として10名前後のスタッフを配置し、ソフトウェアの管理や開発についても内製で行っています。
 当初、62名の記者がブログを書いていましたが、他の社員からも書きたいという声があがってきたため、74人に増やしました。今後も増加を狙っています。事前の打ち合わせでは「記者は数人」という話が出ましたが、私としては100人体制でやりたかった。結果的に62名でスタートしましたが、100人に頼んで38人に断られたというわけではありません(笑)。

――記者のブログということで炎上は心配されませんでしたか?

 もちろん考えましたが、記者もユーザも自己責任ということを徹底しています。書き込みについても事前のチェックはデスクを含めてまったく行いません。また書き込みに対して起こった事柄について、すべて対応は「事後対処」であり「自己責任」を徹底しています。著作権など問題が発生した際の対処についても、顧問弁護士を交えて事前に議論を行いました。ユーザのコメント投稿などに関しても同様です。会員登録が必要という条件はありますが、新聞紙の投書欄でよく見られるような、取捨選択などは全く行いません。
 記者ブログは産経新聞者の全面的協力を得て、新しいことにチャレンジしたい人という条件で記者を募り、敢えて基本的にすべて実名でエントリを行うことを目標に設定しました。それぞれの記者には利用規約やポリシー、使い方などを時間をかけて学んでもらい、スタートに備えました。

――iza(イザ!)が今後目指していくのは?

 新聞社のリソースを活用して、どこにもない新しい情報の場を提供したいと考えています。一般的に新聞社がWebサイトを開設する場合、読者を確保するためのネット事業という意味合いが含まれますが、iza(イザ!)に関しては新聞という枠から脱して、これまでのマスメディアの情報パッケージを改革することを目標としています。11月にはテーマやジャンルの追加、ブログ機能の強化を行う予定ですし、さらにeコーマスを含めた事業展開も予定しています。
 「紙とネットの競合」という議論がありますが、すでに時代は先へ進んでおり、もはや紙媒体の2次利用ではユーザに受け入れられないという現状があります。今までの新聞社は「新聞紙社」であり、紙に縛られている面が強いと言えるでしょう。iza(イザ!)は「新聞」の進化系を目指し、「新聞2.0」をテーマに挑戦していきます。

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