Web人大賞

大西 啓介

株式会社ナビタイムジャパン 代表取締役社長/工学博士

NAVITIME


携帯、PCでのトータルナビゲーションシステムで世界へ

世界のナビゲーションシステムのデファクトスタンダードを目指す

電車、飛行機、車、徒歩とあらゆる交通手段を統合した携帯・パソコンのトータルナビゲーションシステム「ナビタイム」を世に送り出し、au端末で高速な「EZナビウォーク」を提供するナビタイムジャパン。日本だけではなく、世界規模でのナビゲーションシステムの提供を目指している。代表取締役社長である大西啓介氏は、自らエンジンニアとして、20年間一貫してナビゲーションシステムの開発を行っている。

――ナビゲーションサービスをはじめるきっかけは?

1986年から経路探索のアルゴリズムに関わっており、元々はカーナビメーカーとの共同研究を大学で行っていました。当時はパソコンのOSがMS-DOS全盛の頃で、メモリが300KBくらいしか使えませんでした。そのため、ナビゲーションエンジンを小さく作ることと、CPUが遅くても速い経路探索ができることを研究のテーマとしていました。それが今の携帯電話に非常にマッチしたといえます。副社長の菊池(菊池新氏)とは学生の頃、同じ研究室にいたのですが、私が主に車と徒歩という道路の経路探索を研究し、彼が時刻表を対象にした乗り物の経路探索アルゴリズムを研究していました。世の中の移動手段は時刻表か道路がすべてですから、2人のアルゴリズムを融合させることによって、電車・飛行機・車がすべて揃ったトータルナビゲーションができるようになりました。

――ナビタイムの携帯電話での展開は?

1998年にはトータルナビゲーションができあがっていました。2000年3月に発売されたエプソンのロカティオ(日本初のGPS搭載PDA)に、トータルナビゲーションが搭載されて市販されたのが第一歩です。ただ、(ロカティオの)サイズが大きくて、日常利用されるところまではいきませんでした。2001年の12月、KDDIのEZWebにはじめてGPSが入ったのですが、そのタイミングでナビタイムを公式コンテンツとしてスタートしました。また、2002年秋にドコモで、冬にはボーダフォンで公式サイトナビタイムを開始し、3キャリア対応になりました。

――auのEZナビウォークをはじめられたきっかけは?

2003年10月にBREWの端末でEZナビウォークがはじまったわけですが、2000年3月にクアルコムCEOのポール・ジェイコムス氏が日本に来て、
「これからは携帯電話に高速なアプリケーションプラットフォームを載せていく」
という話をしていました。そのとき
「PDAでGPSを外付けにしたトータルナビゲーションをご覧になりますか?」
と見せたら、
「まさしくこれを携帯でやりたい!」と。
クアルコムにはGPSとBREWというプラットフォームはあるけれど、ナビゲーションエンジンは持っていなかった。それならば、一緒にプロトタイプを作っていこうという話になりました。当時、ナビゲーション用のAPIがなかったのですけど、すぐに必要なAPIを提案し、搭載してくれました。その後も動作が遅い点を改善するなど、BREWのAPIのブラッシュアップを進めていきました。当時、KDDIさんはJAVAでナビゲーションシステムをやっていたのですが、JAVAではナビゲーションの動作が遅くて普及しなかった。そこで高速なBREWでナビゲーションを行うことになったと思うのですが、すでにナビタイムができあがっていましたので、BREWはナビタイム、ということでご採用いただけました。

――PDAに関するノウハウはあったと思うのですが、携帯向けに開発する上で苦労はありましたか?

BREWというのはC言語で開発できるので、PDAで開発したリソースがほとんどそのまま使えました。実際、グラフィックのAPIを変えるだけでOKでした。しかも、APIは我々が要求していたものですから非常に簡単でした。遅いところはBREW側に要求し、ずいぶんと改善していただけました。

――ユーザー数の伸びはどうでしょうか?

最初はそれほどでもなかったのですが、EZナビウォークは去年の8月で50万人だったのが、今年の5月に100万人を突破しました。ナビタイム自体は2001年からはじまっていますが、ここに来て急に伸びています。これには3つの要因があります。1つはGPSが速くなったこと。以前は20秒くらいかかったのが、最近は1秒で済む。ほとんどリアルタイムですね。2つ目がパケット定額制の普及。今までは本当に迷ったときにしか使われなかったのが、日常用途でも安心して使われるようになりました。3つ目が、第3世代端末の普及。ネット接続が非常に高速になったことです。この3つが揃って、ナビゲーションのインフラが整ったと考えています。

――電車の広告を積極的に展開していますね

電車の広告は我々にとってかなり良い媒体です。一番効果があるのが目線の高さにある「ドア横」というところなのですが、あの高さというのは乗ったときに必ず読まれる。そして、電車に乗っている人の6割くらいが携帯を手にしています。商品を持ったお客様が広告の前に立っているということで、ものすごく近いのです。電車の中で買えるのは携帯のコンテンツだけだと思います。しかも、電車に乗っている人は、皆さんどこかに行くわけですから。

――ユーザーからの評価はどうでしょうか?

すごく感謝されたのが、山に行って帰り道がわからなくなったときに、「自宅に帰る」で検索したら、山の中から線が引かれて、1分違わず電車が来て家に帰れたということですね。また、大阪の実家に帰るときに何年も同じ道で帰っていた人が、ナビタイムで検索したら、実は別の道が近かった、ということがわかった、といった感想もあります。そういった嬉しい報告がいくつも来ています。

――今後のナビタイムの展開は?

一番大きな目標はナビタイムがナビゲーションシステムで世界のデファクトスタンダードになること。それが、会社の設立当初からの目標です。地図データが換わったとしても、統一のフォーマットに変換すると、世界中どこに行っても同じナビシステムが使えるようになります。現在、グローバル化はだいぶ進んでいて、全世界15ヶ国で、パソコンからでも携帯からでも見られるようになっています。

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