Web人学生賞

赤星 琢哉

広告会議室

広告会議室


コピーライターを目指すもの同士が集まる

距離・時間の壁を越え、発表・講評しあえる場を提供


広告にはつき物の「キャッチコピー」。コピーライターを目指す人達の勉強の場と言えば、科目として用意している専門学校や市民講座など実際に足を運ぶ必要があるものがほとんどであり、それも主に大都市に限られている。通信講座はあるものの、添削には郵送など往復の時間が必要で、周りの人との競い合いもない。そんな状況を変えるべく立ち上がったのがWebサイト「広告会議室」だ。通信講座的な場所を問わない参加性とインターネットを利用した即時性、さらにWebページで多人数が参加する形をとることで、新しい学びの場として注目されている。この「広告会議室」の開設から運営まで行っている中心人物が赤星琢哉氏だ。

――広告会議室とは?

 広告会議室はメインコンテンツの「コピー裁判所」を中心にして、広告/コピーに関する情報提供を行うWebサイトです。「コピー裁判所」はあるテーマに関するキャッチコピーを募集して、ユーザーによる投票で優秀作を決定したり、作品について講評する場となっています。会員はプロのコピーライターもいますが、多くは実際にコピーライターを目指して勉強している人で、「書く力」と「見る力」の両面を養いあうことを目的にしています。このようなサイトを立ち上げていますが、僕自身もプロというわけではなく、一人のコピーライターを目指す人間として参加しています。
 もともと立ち上げ時にはコンテンツが「コピー裁判所」だけであったので僕1人ですべての作業を行っていました。キャッチコピーの投稿管理や広告に関する情報収集、そしてこれらの情報をWebに掲載するのが主な作業ですね。しかし、現在では参加人数が増えてきたことや新しいコンテンツの導入にあたって、各コンテンツの情報の収集や提供を何名かのスタッフに手伝ってもらっています。

――広告会議室を立ち上げるきっかけは?

 もともと広告にはそれほど興味がなかったんですが、ある日雑誌をぱらぱらとめくっている時に目にした、とあるポスターとそのキャッチコピーがすごく印象的だったんですよ。それを見てからコピーライターという職業に興味を持ちました。今もまだ大学で事業構想学を専攻しているんですが、2003年~2004年の間に大学を休学してコピーライターの養成講座に参加したんです。仙台に住んでいるんですけど、実践的な講座を開いているのはやはり東京だ、ということで上京して「宣伝会議コピーライター養成講座総合コース」と「広告批評 広告学校CMプランニング教室」に通うことになりました。
 講座そのものも勉強になりましたが、自分以外のコピーライター志望者たちの作品を見るのも重要だと思いました。あとなかなか出会えそうにないコピーライター志望者の友達が沢山できたのが一番の財産かもしれません。この講座を卒業したあとで「卒業後にキャッチコピーを書いたり講評してもらえる環境がなくなってしまう」と感じたんです。僕は上京することで講座に参加できたけれど、学校へ行かない/行けない人にとっては勉強する場は無いのと同じですよね。無いなら作ってしまおうと考えて2004年の5月にWebサイトを開設しました。
 当初は20名程度の参加人数でしたが、現在は約300名が会員として登録しています。キャッチコピーの良し悪しというのは作った本人ではなくそれを見る側によって判断されると思います。だから単純に第三者が見て「いいなぁ」と思うキャッチコピーが良いものであると思います。そういった理由でコピー裁判所は参加者の投票で優秀作品を決定するという相互評価の形になりました。うれしいことにこの試みに賛同してくれた「宣伝会議コピーライター養成講座総合コース」で講師をなさっていた先生が協力者として参加してくれることになりました。そのおかげで、養成講座さながらの講評を行える体制になったんです。

――Webを利用するメリットやデメリットは?

 Webサイトを開設するにあたって一番大きなメリットだと考えたのは、場所や時間を問わず、参加したい人々がすぐに参加できる場であるという点です。また個人が表現をする場としてのインターネットにも大きな期待を持っています。キャッチコピーを作り、その力をつけるためには客観的な視点がどうしても必要になります。しかし講座などに参加できない人は1人で作業するほかなく、なかなか客観的な視点を持つことができません。広告会議室ではインターネットを通じて会員に出品作を公開し、それぞれの目から見た感想や批評をもらうことができます。客観的な視点でキャッチコピーを評価できる場所ができたことで、会員同士が目的を持って制作に打ち込める環境作りができたと考えています。
 会員は養成講座の卒業生がメインだったんですが、検索サイトに登録したことや口コミのおかげで一般のユーザーが参加するケースが増え、現在はいろんな人達が参加しています。ほとんどの更新作業は自分で行っていますが、そちらに時間をとられてしまって自分の作品作りができないというのがデメリットでしょうか(苦笑)。最近ではWebサイト作り自体がキャッチコピーを作るのと同じように「クリエイティブな作業だ!」なんて思っています。キャッチコピーに限らずきっともの作り自体が好きなんですね。今はWebサイトを使う十分なメリットを感じていますが「Webじゃないとだめだ」という意識はなく、他の媒体や環境で同じことができるならばWeb以外の媒体にも目を向けたいと思います。

――広告会議室の今後は?

 現在このWebサイトによって収益を上げているわけではありません。あくまでも自分を含めたコピーライターを目指す人たちが学べる場を提供することを目標にしています。今まではサーバーは親が持っているサーバースペースを間借りしていましたが、現在ドメインを取得しサーバーも持つことができたので、今後はさらに参加者を増やせるようなコンテンツと体制作りをしたいと考えています。
 僕自身は機会に恵まれて実際に講座に参加することができました。しかし興味があっても参加できなかったり、誰かに師事できないということが、特にクリエイティブな分野ではよくあることだと思います。これは講座が主に大都市に限られていて地理的/時間的に参加できない人が多いということです。また時間はあっても通うのに必要なお金が出せないという場合もあるでしょう。これらの理由で夢を失うのは非常にもったいないことだと思いますし、センスを持っていても学べない人も多いのではないでしょうか。コピーライターの分野に限らず、センスのある人はたくさん埋もれていると思います。広告会議室では、そんな人たちを掘り起こす場所のひとつになることを目指して活動していきます。

PAGE TOP