Web人賞

白澤 勉

日清食品株式会社 宣伝部

カップヌードル・サイト


世代を超えたブランド「カップヌードル」とウェブはどう向き合うべきか

ブランドを正しく認識する事がウェブブランディングの第一歩

誰もが知る「Hungry ?」や「20世紀カップヌードル」、そして現在の「NO BORDER」。メッセージ性が強く、クリエイティブレベルも高いカップヌードルのTV-CMは業界でも評価が高い。それにもかかわらず、現在カップヌードルのブランドサイトはTV-CMと連携していない。数々の試行錯誤の上、TV-CMとウェブでユーザが求めるものが異なることを突き止めた白澤勉は、あえてTV-CMとウェブを切り離したのだ。

―― 日清食品では、商品ラインで異なるプロモーションを展開されています。

弊社には日清食品という会社そのものを紹介する企業サイトと、商品の名前を冠した「ブランドサイト」を分離してサイトを構成しています。これは、商品それぞれが強いブランド力を持つため、分離させた方がお客様の心に響くサイトが構築できると判断したためです。
その「ブランドサイト」も、商品の歴史やブランド力でウェブブランディングの組み立て方を変えています。特徴的な「カップヌードル」「具多(GooTa)」「チキンラーメン」でお話ししましょう。
まず「具多(GooTa)」ですが、サイトクリエイティブをTV-CMと全面的に連動させ、テレビ・ウェブ・商品パッケージのイメージ統一を図っています。もちろん、サイトならではのコンテンツを用意して、来て頂いたお客様に楽しんで頂けるようにしています。
次に「チキンラーメン」は、キャラクターの「ひよこちゃん」を中心にサイトを組み立て、お子様が楽しめる構成にしています。「チキラー島にいるひよこちゃん」をコンセプトに、ひよこちゃんをより身近に感じて頂けるサイトを目指していますね。
最後にカップヌードルは、より普遍的な内容になるようリニューアルしました。以前は、カップヌードルもTV-CMを意識してサイトを構築していました。ところが、ウェブサイトに来て頂くお客様の声を詳しく分析した結果、もっとプロダクトの本質に沿ったコンテンツを用意する必要があると感じたのです。

―― カップヌードルの本質に沿ったコンテンツですか?

当時はTV-CMが「UT」キャンペーンの頃で、キャラクターの「UT」を中心に据えてサイトを構成していました。ところが、サイトに来て頂いているのは「UTファン」ではなく、「カップヌードルファン」だったことが分かったのです。
カップヌードルは歴史の長い商品です。放映中のTV-CMのイメージ以上に、お客様がそれぞれお持ちのイメージが非常に強いことが分かりました。
たとえば、年配の方がイメージした「カップヌードル」は、「青春の下宿生活を思い出す懐かしい商品」でした。若い方では「現在よく食べている進行形の商品」になります。TV-CMのイメージにしても「Hungry ?」だったり「20世紀カップヌードル」だったり、現在の「NO BORDER」のカップヌードルだったりするわけです。
お客様がお持ちのカップヌードル像があまりに多様で、現在のTV-CMだけでカップヌードルを表現するのは不可能と感じました。カップヌードルに限って言えば、CMと連携したウェブサイトではユーザに響きにくいのです。
そこで、カップヌードルを象徴する「3分」という時間に焦点を当て、その時間を楽しんで頂くサイト。カップヌードルを作る3分間を快適に過ごすために必要なコンテンツを考え、サイトのリニューアルを決定したのです。構想には半年を費やしました。

――社内外でCMと連動せよとの指示があったかと思いますが。

当初は賛否両論でした。特に「NO BORDER」キャンペーンは高い評価を頂いており、「サイトもNO BORDERをもっと押し出すべきでは?」との意見が出てきます。
しかし「カップヌードルブランド」は、CMキャンペーンを上回るほど巨大なブランドイメージとしてお客様に広く浸透しています。ウェブサイトを「お客様との対話の場」として考えたときに、TV-CM連動ではお客様のニーズに応えられないことを粘り強く説明しました。
幅広いお客様層に楽しんで頂けるよう、クリエイティブも工夫を重ねました。FLASHアニメーションの待ち時間の演出から、トップページのアニメーションまで、来た瞬間にカップヌードルと分かるようにしています。最近では、頻繁に来て頂けるよう育成型ゲーム「カップラント」も追加しています。
ページビューという指標で評価するなら、以前より現在の構成の方がお客様に喜ばれていると判断しています。

―― 今後の展開をお聞かせください。

ウェブで「お買い求めいただいたお客様」とのチャネルができました。次は「これからお買い求め頂くお客様」とのチャネルとしてウェブを活用できないかと思っています。具体的には、ウェブと店舗との連携です。
たとえば、電子マネー機能の付いた携帯電話が登場していますよね。弊社のコンテンツを最後までご覧になった方に、カップヌードルの割引クーポンを、電子マネーで携帯電話に配信できたらいいですよね。サイトに来る人だけに感じられるインセンティブを与える仕組みで、よりお客様を囲い込む。より強い購買意欲を持たせるプロモーションを展開できればと思います。
まだまだウェブプロモーションは始まったばかりです。これからも、ウェブとプロモーションのあり方は発展できる余地がありますよ。
もちろん、ウェブですべてのプロモーションができるとは思っていません。たとえば、ウェブにはリーチの問題があります。カップヌードルのような大衆消費財では、多くの人に知って頂くリーチが重要になりますが、TVと比べてインターネットではリーチの面で弱いのは否めません。
既存のメディアの特性をより深く把握し、さらにウェブプロモーションと連携させる、媒体特性を理解した戦略こそ重要ではないでしょうか。これからも、カップラーメンが持つ特徴の「3分間」をテーマに、快適に過ごして頂くコンテンツを増やして行きたいですね。カップヌードルブランドは、世界に通用する「クールなブランド」に育てられたらと思います。
最後に、リニューアルや運営は私ひとりでできた訳ではありません。ご協力頂いている電通の19営業局の田中氏、IC局の佐久間氏。クリエイティブでお世話になっているタキ工房様。そして、私にウェブブランディングの重要性を説いた弊社の吉田に感謝の言葉を申し上げたいと思います。

PAGE TOP