Web人賞

木村 剛

Kfi株式会社 代表取締役社長

週刊!木村剛


責任ある発言ツールは揃った。あとは使い手の心がけ次第

ウェブログはツール、
これはネットが市民権を勝ち取る市民権運動だ

ウェブログの大きな発展に、数々の「有名人ブログ」が果たした役割は見逃せない。木村剛は自身のウェブログ「週刊! 木村剛」を毎日更新、ネットユーザとのコミュニケーションを加速させることに成功した。ネットコミュニケーションを通じ、経済・金融やマスメディアとの繋がりも深い立場から、ウェブログの可能性や危険性を見抜いている。

―― 「週刊! 木村剛」を始めたきっかけをお聞かせください。

正直なところ、かなり軽い気持ちで引き受けました。ニフティさんからお話を頂いたころは、「コメントの付くオンラインメディア」ぐらいに考えていましたしね。打ち合わせでは「月に数本」というペースだったこともあり、かなりゆったりと捉えていました。
ところが、ウェブログを始めてみるとこれが面白い。「月に数本」が「1週間に1本」になり、それから「営業日は毎日更新」に頻度が上がり、現在は毎日更新になっています。
現在の「週刊! 木村剛」は、普通の記事更新に加えて「トラックバックランキング」などを追加しました。ウェブログのタイトルは「週刊」となっていますが、ほとんど「日刊」状態です。
ウェブログで特に興味深いのが「トラックバック」という仕組みです。これまでにも、読者とのコミュニケーションツールは多数ありました。古くは手紙、ファクシミリで反響が来ましたし、ネットに入ってからは電子メールが寄せられました。しかし、トラックバックはこれらとまったく異なるミュニケーション体験をもたらしてくれます。

―― トラックバックの利点はなんでしょうか?

まず、読者からの反応をダイレクトに得られる。そのスピードも速い。この点だけなら電子メールと変わりがないですが、トラックバックには大きく異なる点があります。
まず、コミュニケーションの過程が公開されている点が異なります。トラックバックを辿ることで、「週刊!木村剛」の事を中心に、読者の思考や議論の展開を追うことができます。読者の議論の広がりを、サーバー間通信で機械的に表現している。かつて無いコンテンツの広がりを感じますね。
さらに、トラックバックは自分のサイトを担保にしてメッセージを送る側面もあります。自分のサイトがかかっているので、コメントに比べて責任のある発言が多い。これもトラックバックの大きな特徴と言えます。
このほかにも、ウェブログの可能性を私自身が感じる出来事がありました。ウェブログがなかったら会うはずのない人と会える。これもメリットでしょう。ウェブログでの出会いがきっかけで、公的年金タスクフォースに参加させて頂いています。タスクフォースは、国会議員が超党派で12人参加されています。ウェブログでの出会いがきっかけで、政治が変わるかもしれません。

―― インターネットを使ったコミュニケーションで感じることは?

インターネットは匿名で自由な世界と言われています。しかし、自由とは「何をしても許される」という意味ではありません。今のような、誹謗中傷や著作権侵害がまかり通る状態が続けば、いずれ国による規制を受けることになりますし、その兆候が現れています。インターネットの「自由」は非常に危うい状態にあるのです。
さらに、不幸にもネットの中では無責任な発言がまかり通り、それが「標準」と思われている面があります。その感覚のまま実社会に出てくると危うい。
ネット社会では、人を傷つけるようなことを書き殴って、都合が悪くなればブラウザを閉じるだけで済むかもしれません。大人がいる現実の社会は違います。殴られるかもしれないし、訴えられるかもしれないし、解雇・左遷される可能性もあります。
こういった危機意識を持たずに、コメントで「ネットで違法という情報が見つかりませんよ?」などと正当化する人もいます。実社会の「標準」とネット社会の「標準」のズレに気づかずに育ってしまっている、非常に危うい状態と感じていますね。
「懲戒解雇」「損害賠償」「懲役」など、現実の「自由」は恐ろしい懲罰と隣り合わせで成り立っています。しかし、インターネット上のルール違反は、強い懲罰を受けずに済んでしまっています。インターネット上のルール違反と同じつもりで、実社会でもルール違反を犯すと非常に不幸な結果を招くことになるでしょう。

―― ウェブログはネット社会にどんな影響を与えるのでしょうか?

私は、ウェブログを使った市民による情報発信は、「ネット市民権運動」だと思っています。ネットを利用しない人からすれば、ネット上の言論は信頼できないとのコンセンサスができ上げっていますよね。この現状を変えるには、ネットを利用する個人個人の姿勢にかかっているのです。
ネット社会は、ウェブログという素晴らしいツールを手に入れました。しかし、ウェブログがネット社会を変えるのではありません。変えるのは人、使い手です。ネットの自由さを守れるかは、利用者のモラルにかかっています。
私は、ウェブログの意見も尊重される時代が来ることを望んでいます。「有名人ブログ」でなく、市民の意見が本当に尊重される社会。「ブログスター」という「週刊!木村剛」の企画は、そういった想いで続けています。
インターネットが完全に自立するためには、経済的にも独立する必要があると考えています。そのまえに、「自由な言論」とは何か。ウェブログを使う皆さんに「自由」の責任の重さを頭の片隅に置いて頂ければと思います。

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